このページの情報は 2006年1月15日16時7分 時点のものです。 |
Thing of Beauty: The Tragedy of Supermodel Gia
DVDレンタルで見たことある人が多いと思いますが、「GIA 裸のスーパーモデル」の短くも儚い一生をありのまま文章にしています。裕福とはほど遠い幼少時代から、自分が同性愛者であることを自覚し、誰もが憧れるスーパーモデルへ。薬に溺れ、エイズで若くして命を落としたGIA。彼女が求めたもの、見てきた人生のすべてが、この本に詰め込まれている。GIAという、一人の少女の物語です。
金髪碧眼の北欧風のモデルたちがもてはやされた時代に、ブルネットのエキゾチックな容姿で道を拓いたのはジャニス・ディキンソンだ。ギアは彼女の敷いたレールを行き、ディキンソンの苦闘を経ずにまたたく間に成功を手にし…その成功をまったく喜ばなかった。モデル業を嫌い、その世界で甘やかされる自分を憎んだ。レズビアンで自己破壊的、憂鬱とタフネスがないまぜになった素晴らしい写真をファッション界に残し、ドラッグに溺れホームレスにまで身を沈め、性的暴行を受け、ついにはエイズで死亡。モデル界から身を引いた彼女が、就職案内に目を通しながら救急隊員になることを夢見る箇所がある。「そうしたらもう誰も私を馬鹿にしないわね?」…思わず落涙した。並外れて美しいということは恐ろしく、純粋すぎるというのは凄まじい。ディキンソンは自伝の中で、「ギアは光の天使だった」と書いている。この世で生きるには繊細過ぎる女性だったのか、思いは深く沈むばかりだ。
本書はいわゆるスーパーモデルの走りと言われるGIAのバイオグラフィー。著者がGIAに関わりのあった人物(その中には今でもファッション業界で活躍している人もいます)とのインタビュー形式で話が進んでいきます。この本を読んで初めて彼女の存在とライフスタイルを知りましたが、26歳でエイズで亡くなるまでの生き方のスピードが速すぎて、読んでいても、”もっと知りたい!”という気にさせられます。中に掲載されている彼女の当時の雑誌での写真の美しさも、同性の私でも惹かれてしまいます。ヘルシーブームな現代、こんなモデルはもう存在しないのでは、という点でもとても興味深い本です。翻訳版がないのが残念。 |
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