このページの情報は 2006年1月15日16時7分 時点のものです。 |
モスクワ・ライヴ1986
八十年代にホロヴィッツがモスクワで行ったコンサートのライブ録音。バロックから、古典派、そしてロマン派までの幅広い作品をおさめる。モーツァルトをこのようにロマンティックに弾いてしまうのは、古典派の様式にとってはかなりの冒険で、評価、好き嫌いは自ずから分かれるだろう。しかし、スクリャビン、ラフマニノフはさすがに申し分ないできばえを示している。円熟した、というより爛熟した後期ロマン派の精神でピアノを弾くというのは、こういうことかとも思う。今後まずあらわれないピアニストであることは疑われない。聴衆の熱気もよくとらえられており、鳴り止まない拍手やブラボーもレコードの聞き手を興奮させる。
1曲目のスカルラティの初めの一音から往年のホロヴィッツトーン炸裂!なんとも美しい!ホロヴィッツのはこの曲を全盛期に録音しているがこの晩年のほうが構成、音色等すべてにおいてはるかに凌駕している。ホロヴィッツを語る上でこの上なく重要なのはホロヴィッツ=大曲というイメージがあるが、小品こそ彼がもっとも最大限に力量を発揮すしているものとおもえる。(もちろん、ロ短調ソナタ、コンチェルト第3番はもちろんすばらしい)2曲目のモーツアルトもホロヴィッツならではの泣かせ方を発揮しており曲を聴いただけで誰の演奏かわかる独自の音色で、晩年はモーツアルトに心酔してことわるごとに弾いていた。その他の曲も同様にこの1986年は精神的、肉体的に晩年の中ではもっとも充実しており、このモスク!公演後そのまま自らの足で日本を訪れ、モスクワ公演と同じ曲目で1983年の破滅的な日本公演(ひびの入った骨董品)の汚名返上をすべく急遽日本を訪れた。最後にホロヴィッツの代名詞となったトロイメライは究極の美をあらわしておりもう二度とこの演奏を超えるものは現れないと思われる。とにかくこの演奏を聴かずして晩年のホロヴィッツを語ることはできない歴史的な録音だ!
ホロビッツがいろいろな音楽人生を経験した後、 |
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