戦後日本の大衆文化史―1945‐1980年
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定価 : ¥ 1,155
販売元 : 岩波書店
発売日 : 2001-04 |
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カナダの大学で1980年に話した英文ノートを日本語になおしたものだ。私はこの本で、戦争直後の日本政府はたぶんに幸運だったということを知った。
1945年9月3日、マッカーサーは米軍が日本全土を占領し、軍政を開始するという声明をするという予定になっていました。(略)それまで難しい漢字言葉を魔法のように使って日本政府は降服の衝撃をやわらげようと努力してきました。降服前後の日本の大衆向けの報道には「敗戦」という言葉は注意深く隠され、そのかわりに「終戦」という言葉が使われました。(略)しかし今になって、米軍の軍票が日本に使われることになり、また円の変わりにドルということになると、その事実そのものが日本の大衆の中に敗戦と占領の事実をはっきりやきつけることになり、それは日本政府をむずかしい立場に置くことになります。(略)
東九邇宮首相は終戦連絡事務局長を深夜にマッカーサー元帥に派遣する決定をしました。
こうした努力が運良く実って、声明は取り消され、戦後60年経った現在もマスコミは敗戦という言葉を使いたがらない。なぜか。戦争協力者でもあった大新聞社の汚点をさらすことになるからか。多くの企業責任を問うてきている新聞は、自らの膿をいまだに出せないでいる。
大衆文化という視点から、戦後日本を読み解く本。